抗生物質ジスロマックの妊婦への投与時期と適応症

ジスロマックは、マクロライド系に分類される抗生物質であり、人間の粘膜細胞を通じて性器クラミジア感染症などを引き起こす真性細菌の蛋白合成を阻害する事により抗菌作用を発揮します。
蛋白合成阻害薬として、皮膚感染症や呼吸器感染症、尿道炎、子宮頸管炎などの治療に用いられています。
更に、インフルエンザの症状緩和や患部組織の抗炎症、人間の細胞を傷付ける活性酸素の生成抑制、化膿止めなどの目的でも用いられています。
ジスロマックの作用機序としては、真性細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットに作用する事で、蛋白合成のポリペプチド鎖の形成に必要な塩基配列情報の伝達システムに障害を引き起こします。
蛋白合成を阻害し真性細菌の増殖抑制効果及び死滅効果を発揮します。

ジスロマックは、同じマクロライド系のエリスロマイシンに窒素を組み込むんだアジスロマイシンを中心に様々な成分と共に徐放性を有するマイクロスフェアにより製剤されています。
ジスロマックは、上部消化器官で消化液の影響を受けて消化吸収される事無く小腸で長時間かつ安定的に医薬成分が放出されます。
非常に長い血中半減期と患部組織内の医薬成分濃度が血中濃度10倍~100倍に高められている事により、1回の服用で7日間程度医薬効果が維持出来る様に改良されています。
その為、性器クラミジアの治療ならば、アジスロマイシン力価で1,000mgを1回服用するだけで完了します。

性器クラミジアは、感染後1週間~3週間の潜伏期間を経て発症します。
男性の発症初期は排尿痛や尿道の痒み、不快感など比較的軽い症状が見られ、精巣上体炎や前立腺炎、血精液症などから無精子症や乏精子症など男性不妊症になる事もあります。
女性の場合は、おりものの変化や不正出血などの症状がみられる事もありますが自覚症状がほとんど無いケースが多く、子宮頸管炎や卵管炎、骨盤腹膜炎などを引き起こし不妊症の原因となります。
特に妊婦の場合は、自覚症状が乏しい為に妊婦検査や出生前診断などで感染に気付く事が多く、適切な処置が遅れ絨毛膜羊膜炎を引き起こし前期破水や過剰な生理活性物質プロスタグランジンによる早産のリスクが高くなります。
しかし、性器クラミジアへの感染が判明しても、妊娠4週目~妊娠20週目の時期は胎児の催奇形性や胎児毒性のリスクがある為投薬を避けます。
逆に妊娠30週目を過ぎた時期の治療は産道感染を予防する事が出来ず胎児が新生児結膜炎や肺炎などを発症してしまう為に、性器クラミジアの治療は妊娠20週目~妊娠30週目までの時期にジスロマックなどの抗生物質を投与して行います。